TOP草原のチョウセセリチョウ科>ホシチャバネセセリ


ホシチャバネセセリ Aeromachus inachus inachus

ホシチャバネセセリ

(左)オス なわばり行動か?
裏面の独特の模様が美しい
(2003.8.2 群馬県榛名山

(下)飛び立つ
はばたきは、速い。シャッタースピード1000分の1秒でも止まって見えない

 小粒が身上のセセリチョウの仲間でも、本種は、一番の小粒の存在だ。
 シジミチョウよりも小さいくらいのサイズで、色合いもシック。しかも飛ぶとかなりの速さだから、どこへ行ったか目で追うのが難しいことがある。

 名前は、おそらく前翅に並んだ白い星が印象的なことに由来しているのだろう。この星の出方は、固体によって多少違っているようだ。以前、霧ヶ峰で、この星がまったくない個体を採集したことがある。珍しいのかは分からない。
 並んだ星もかわいいのだが、自然が作り出したデザインの妙は、後翅裏面の独特のしま模様にあると感じている。渋い黄金色の味わいとともに、深い美しさを感じる。

 ススキなどの葉の上にちょこんと乗っているか、オスの場合は、砂利の場所に吸水に来ているのを見かける。

ホシチャバネ飛翔

ホシチャバネ飛翔

 このチョウの撮影をするため、榛名山へ通った。全国的には局地的なチョウが、近場に産地が残されているのは、ありがたい。
 かつての経験から、シーズンであれば、簡単に撮影できる考えで出向いた。
 しかし、さんざん探しても会えない。こんなはずではないのに、シーズンがはずれたのか、と疑問がわいてくる。
 そこに、足利から来たという、私と同年輩くらいのチョウ屋が現れた。

 彼いわく、やはり、近年数を減らしているとのこと。採集圧と、草原の環境が年々悪化しているせいだという。
 そういえば、数年前から来ている場所だが、豊かな花畑だったのが、いつのまにか、しかし急に花の数が少なくなっている。草の間には、踏み跡が道になって。これは、自分も含めチョウ屋活動の結果の可能性が極めて高い。罪深きは…反省。
 彼は、「完全に自分のエゴだけど」とはっきり認めながら、今のうちに標本が欲しい、とけっこうな数を採集していた。

 いろいろ情報交換の後、親切な彼は、私をかわいそうに思ってか、いる可能性の高い場所を案内してくれた。
 さすが、ポイントへ着くなり、1頭が現れた。その個体は、すぐに見失ってしまって撮影できなかったのだが、おかげでいる場所の傾向がわかった。
 広い草原の中でも、いる場所は、ちょっとくせのある所のようだ。何かの理由があるのだろう。食草のオオアブラススキが近くにあるのだろうか。
 ともかく、親切な青年チョウ屋さんに、大感謝!

ホシチャバネセセリ

 次の休日に再び行ったときには、数頭がせまい場所にかたまっているのを見つけられた。この日は、かなりの時間観察と撮影に取り組むことができた。
 もうメスの時期であったが、メスは場所を離れることなく、狭いポイントの中で吸蜜を繰り返していた。やはり局地的チョウ…。
 とにかく吸蜜が好きで、キリンソウ、クガイソウなどにも寄っていたが、特に写真のピンク色のキイチゴの仲間の花がお好みのようだった。

(下)吸蜜するメス
メスは、腹部が方錐型をしているから判る。長い口吻。
オスよりおっとりしているから、お食事に熱中してるすきに、目一杯近づいて撮影 

(2003 8.10 榛名山)
ホシチャバネセセリ

(右)止まろうとする瞬間

ホシチャバネセセリ


TOP草原のチョウセセリチョウ科>ホシチャバネセセリ

 

inserted by FC2 system