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アカセセリ Hesperia florinda

 名前はアカセセリ。
 しかし、なぜアカセセリと呼ぶのかは、チョウに関わる者が誰しも思う疑問ではないだろうか。翅の地色が赤みを帯びている、といえばまあそうだが、それだったら、コキマダラセセリやスジグロチャバネセセリ等など他の種類に、より明るい赤っぽいものがいるではないか!
 名前へのツッコミは、これくらいでやめよう。とにかくアカセセリという和名。

 本種の色についての特徴をいえば、翅の裏面にある。名前の「赤」ならぬ、「黄緑」がぼうっと反射するように光っているのだ。何か不思議な気にさせられるきれいさ。本種の最大の魅力になっている。
 しかしこれは、写真で伝えにくいものなので、残念だ。

アカセセリ
(上)オス 見張り行動
(2001.7.26 長野県岡谷市

 アカセセリ
(上)メスの顔をクローズアップ

(下)アカセセリを産する草原

 このチョウが分布する地域は、かなりせまい。
 関東北部から中部山地にかけての範囲に限られている。改めて調べてみると、本州のセセリチョウでは、タカネキマダラセセリの次に分布域が小さいではないか。ちょっと見たところそっくりのコキマダラセセリとずいぶん違う。かなり貴重なチョウなのである。
 これは、食草が、ヒカゲスゲという、乾燥草原に生える1種類のみの偏食のせいだろうか。
 また、その範囲でも、適した草原環境は多くない。そして、他の草原のチョウと同じく、草原環境の減少とともに、数を減らしている。

草原

 私は、少し足を伸ばせば会える場所に住んでいるので、シーズンには、本種にそう苦労せず会える。ということは、考えてみるとなかなか幸運なことだ。
 おそらく、分布地から遠くに住むチョウ屋さんには、強い視線を送っている人も多いことだろう。ちょうど私にとってのヒョウモンモドキやヒロオビミドリシジミなどと同じように。

 このチョウの動作のイメージは元気者。前翅のフォルムがするどいことから分かるように、飛翔は敏捷。特にオス。飛び立つと、あっという間にどこかへいってしまう。
 縁毛の長さもチャームポイントだと思うのだが、すぐに飛び古して、ぼろになってしまう。

     また、よく花で吸蜜するのが好きだ。
     このチョウのシーズンは、他の高原のセセリチョウより遅めの盛夏。
     7月下旬から8月上旬の本州中部高原の草原、特にいろんな種類の花が咲くところで、ハイキングの休憩に、花を気をつけていると、きっとこのチョウに会えることだろう。

(右)おそらく羽化したばかりのメス
翅裏の黄緑の輝きが少し感じられるだろうか
(2003 8.2 群馬県榛名山)

 アカセセリ

 アカセセリ
(上)オス、やはり迎撃態勢?


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