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ウスバシロチョウ(ウスバアゲハ)  Parnassius glacialis

ウスバアゲハ黒化型

黒化の程度が高い個体。埼玉県内では、少ない。
(2003.5.24 埼玉県寄居町)

(2016/02/29更新)

 「早春」や「晩秋」という言葉はあっても、「晩春」という言葉は聞かない。しかし、このチョウの現れる季節を思うと、本種をあえて「晩春のチョウ」というのが私にはぴったりくる。
 春もとうに盛りとなったころ、この時期のみに限って年に1度短い期間だけ姿を現すのは、遅めながらもスプリング・エフェメラルに違いない。出会いは、やはりうれしい。

 別名ウスバシロチョウという名前がついているが、シロチョウ科でなく、アゲハチョウ科。やはり春にのみ現れるギフチョウなどと似た雰囲気を持っている。別名は、半透明な白い翅に黒い翅脈を装う姿からで、本当は間違っているわけだが、こちらのほうがなじみがある。

 本種の翅はツートンカラーだが、この種の仲間は、中国大陸やヨーロッパ等では美しい赤い紋を持つ「パルナシウス」と呼ばれる一群である。純白の翅の上に、鮮血を乗せたような真紅の色彩は、世界中の愛好家を魔力のとりこにしている。
 ちなみに、「パルナシウス」というのは、本サイトでいうパルナッソス山から由来した学名。

 本種は、ウスバシロチョウの別名が指すとおり基本的に「白いチョウ」なのだが、主にメスには「黒化型」と呼ばれる、つまり黒い個体が出現することが知られている。地域による遺伝形質のようで、山形県から福井県の日本海側などで黒化型が高い比率で現れることが知られている。
 埼玉県は、白いチョウばかりの地域なのだが、実は少ないながら黒いウスバシロチョウが現れることを確認している。上の写真は、かなりその程度の高いもの。私にとって2回目であった。
 翅は、まるで油紙がぬれているみたいに、ほとんど透けて、遠目にも普通とは異なって見えた。

■深谷市での記録例

 深谷市内では、「鐘撞堂山ふれあいの森」で出会える。
 分布を広げているように思えるこの種、比企郡では多く見られるため、川本地区でも見られそうだが、まだ見つけられていない。

    2007/5/5        武蔵野
    2007/5/12       武蔵野
    2010/5/12       武蔵野

■生態写真

 

○訪花・吸蜜


NIKON D50+TAMRON SP AF90mm F2.8 DI MACRO(JPG)

キク科のヒメジョンは好きな花。一面に咲く中で、夢中で吸蜜していた。
(2007/05/12 深谷市 鐘撞堂山)

○探索飛翔

 「太陽蝶」というあだ名をつけられていることも何かで読んだが、ほんとうに日差しの好きなチョウだ。かげると、すぐ飛ぶのをやめてしまう。
 日が差し出すといっせいにあちこちで飛び始める。アゲハチョウの種類なのに、普段はごくゆるやかに飛ぶ様子も変わっている。あまりにのんきな雰囲気のため、、ウス「バカ」シロチョウ、なんてあだ名を付ける人もいる。

 飛び回っているのはオスで、これは、もちろんメスを探しているのだ。

 

ウスバアゲハ飛翔 ウスバアゲハ飛翔

○交尾

 飛翔していたオスが、葉上に休むメスを見つけて、めがけて急降下した。

 近寄って見ると、覆い被さり馬乗りになって、モソモソとせまっている。なんてやぼったい求愛だろう。これまたとてもアゲハチョウ科の仲間とは思えない武骨さだ。

求愛シーン

ウスバアゲハ・メス

 交尾が終わったメスは、腹部の裏側にポーチ(付属物:スフラギス)ができる。左の写真でも黒褐色の三角形に見えている。このため、2度目の交尾はできなくなるもの、とされている。

  1度交尾をしたメスは、尾端にポーチができて再び交尾することはできない。残念ながらこのメスは交尾済みだったので、オスはしばらくしてあきらめて飛び去った。
 氷河期からの古い形質を持っているチョウだそうだが、こういう生態にも、「古風さ」を感じさせる。

 本種は、近年、数や分布を増やしているという珍しいチョウでもある。以前は、なかなか見られないチョウだったらしいが、今は時期が合えばたくさん見ることができるし、山ろくの平地にも分布を広げているようだ。
 理由として、食草のムラサキケマンの分布の拡大が指摘されているが、本当の理由ははっきりしない。
 ともかく、減っていく話ばかりのチョウの中で、これは個人的には、歓迎している。


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