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クモマツマキチョウ Anthocharis cardamines |
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日本アルプスなどの急峻な崖に挟まれた谷では、6月になってもまだまだ雪が解けず、雪渓となっている。しかし、その脇の土手の草付きには、陽がよく射し込み、もう初夏の香りがするくらいだ。本種と出会うのはいつもそんな場所だ。 |
吸蜜するメス |
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本種への熱い思いは何だろう。尽きることのない焦がれる思い。姿を見ることのできない愛しい人への片思いか。本種は、イギリスでは普通種だという。飼育すればたやすく増えるとも聞く。もしも、ありふれた存在だったとしたら…。それでも、私の思いは失せてしまうだろうか。 |
飛翔の合間に下草へ止まったオス |
「クモマツマキチョウの美しい飛翔シーンの写真を撮影したい」これは毎年考えるテーマである。 足場の悪い渓谷で、直線的に飛ぶこのチョウをフレームにおさめることは難しい。ようやくフレームに入ったわずかなものもピンボケばかり… |
飛翔 |
産卵 |
2003年の南アルプス市では、産卵シーンの撮影ができたことも幸運だった。 |
ミヤマハタザオの花蕾に産まれた卵 本種は、混生するスジグロシロチョウやモンキチョウのように葉には産卵しない。場所は、決まって花の付け根あたりだ。それは、孵化した幼虫に、始めにやわらかな花びらを食べさせたい、という意図が母蝶の本能に組み込まれているのだろうか。 |
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