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ヒョウモンモドキ Melitaea scotosia |
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(2005.1.13更新)
(左)早朝、保護地に会いに行った。朝もやの冷気の中でびっしりと露を体につけアザミの花に休むこのチョウに出会うことができた。 |
このチョウは、名前がさすようにヒョウモンチョウのように表は黄茶色に黒の模様であるけれど、裏面はモザイク模様に特に白味勝ちなのは、このチョウの特徴で、美しい。 |
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●危機的なチョウ このチョウは、日本のチョウのうちで最も危機的なもののひとつである。 2004年、広島県の発生地で保護活動を行っている「ヒョウモンモドキ保護の会」が開催する観察会に参加して初めて対面することができた。初めての出会いについては、当時の「山道の管理日記」に掲載しているので参照いただきたい。 ●減少についての仮説 保護地を見て実感したのは、このチョウが危機的状況になってしまったのは、食草が生えるための湿原的環境の衰退だということだ。保護地は、もともと休耕田で、ススキなどの丈の高い草を刈り込むなどの手を入れた場所であった。こうした場所で食草キセルアザミが株を広げていた。手の入らない休耕田は、ススキなどに覆われ、丈の低い草はまったく生えることが出来ない状況を見ることができた。 (左)食草キセルアザミ 人の手が入るようになってからは、貧栄養湿原の消滅、田んぼなどでの営養化による他の草の進入、そしてもちろん農薬の影響などいずれにしても住めない環境となったのだろう。 |
●個体変異 このチョウのメスは、概ねオスに比べ黒っぽい翅色をしているのだが、「黒化型」と呼ばれる特に黒味の強い個体もよく現れる。 こうした個体変化に富んだ種類であることは確かかもしれないが、これがまた採集者の数を採る傾向に拍車をかけているに違いなく、哀しいことだ。 |
(右)メス。いわゆる黒化型 |
●生活史など 観察会では、羽化前の蛹や産まれた卵塊など、他の生活のステージを見ることもできたことは幸運であった。 蛹は、去年のススキの枯れた穂に見つかった。 (右)垂蛹、白黒が鮮やか |
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観察会の時には、メスも発生し出したという状況であったが、すでに気の早いメスは、産卵も開始しているタイミングであった。 (左)キセルアザミに産卵された卵。 |
●最後にエール 2004年には、保護地でしか会えなかったのは残念であったけれど、しかしもはやそうでなければ会えない存在、といってほぼ間違いない、と思えた。 |
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