TOP高山のチョウタテハチョウ科エルタテハ


エルタテハ  Nymphalis vaualbum samurai

エルタテハ飛翔

飛翔
(2003.8.22 長野県富士見町)

 

 例によって名前のことからになってしまう。
 和名の「エル」は、おそらく翅裏にある白い「L字」の模様にちなんでのことだろう。シータテハと同じつけられかたである。とすれば、ともにアルファベットが日本に入ってのちの命名ということになる。

 学名を見ると、このチョウがキベリタテハと近い仲間であることがわかる。
 なるほど、食草は同じくダケカンバなどだし、生息する環境もほぼ同じようだ。
 分布する地域も、中部山地を中心に、東北を点々とし、広く北海道ということで、キベリタテハと同様。北方系のチョウである。
ただし、北海道での個体数は少ないそうだ。

 学名に関しては、もうひとつ特筆がある。
 このチョウの本州産亜種には「サムライ」と名づけられているではないか。
 クジャクチョウが「ゲイシャ」であることは有名だが、それと好対象のこちらの名前は、あまり知られていない、というより、自分がこれまで知らなかった…。
 単独で活動するのを基本とし、動きはシャープでサイズもバランスのよい中肉中背…。「侍」というイメージもなかなか適当だと思う。

 出会う状況からすると、季節は真夏の林道のチョウというイメージが強い。
 かなり標高のある山の明るく開けた林道でよく見かけるからだ。ほかのタテハと同じく、砂利などに水が染み出ている吸水できる場所に多い。

 といっても吸水するのはオスであろうから、メスは、違った場所にいてなかなか会えないかもしれない。食樹周辺にでもいるのだろうか。ある程度なわばりをはって、近づくほかのチョウに向かって追いかける。

 形だけみれば、ヒオドシチョウと似ているが、こちらのほうが翅がよりギザギザの形である。
 高い山にすむということで優劣をつけてはいけないのだろうが、ヒオドシが鎧をつけた毛むくじゃらで武骨な武士であるのに対して、きびきびした若い侍とのイメージを持ってしまう。

エルタテハ

(上)林道にて吸水


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