TOP高原のチョウタテハチョウ科(3)>ヤマキマダラヒカゲ


ヤマキマダラヒカゲ  Neope goschkevitschii

ヤマキマダラヒカゲ

吸水
(2002.7.4 群馬県榛名町)

 このチョウは、街中にもいるサトキマダラヒカゲと非常に似ている。
 しかし、こちらは山地や高原が主な分布域ということで「ヤマ」が冠されて区別されている。
 つまり、別種である。チンパンジーと人間位は違うのだ。
 しかし、別種に分けられたのは、近年のことで、それまで同種と考えられていた(区別をつけずにいた)。ちなみに、その当時は「キマダラヒカゲ」と呼ばれていた模様。
 昆虫類、ことにチョウに見識の深い漫画家やくみつる氏も、「JAF MATE」に掲載の4コママンガで、「キマダラヒカゲ」と記載していたのを読んだことがあるが、今や不正確な記述といえる。
 はたして、やく氏がちょっとドライブすると今でもたくさん出会うことのできるのは、「サト」であるのか「ヤマ」であるのか?(ちゃんと区別してくださいね>やくさん)

 長く区別をつけられないほど、よく似たチョウであるように、特別に生態の違いというのも、思い当たらない。まあ、主な食草がクマザサなどであることだろうか。
 「ヤマ」の方は、出会う場所がら、林道に吸水している姿で出会うことが多い。地色がやや濃いかな、ということと、斑紋の並びの微妙な違いから見分けることしかできない。

 多化性であるが、春型のかなり早い発生に出会ったことがある。
 5月上旬、クモマツマキに会いたくて(まだ会ったことがないころ)、長野県の某山中に入ったときだった。天気はあまりすぐれない中、薄い霧の中を赤茶色の大きな隣翅昆虫が飛んできたので、おもわずネットをふった。おそらく蛾に違いない、と思ったのはこのチョウであった。
 羽化したばかりと思える、まだ軟らかい翅の個体であった。オレンジ色は鮮やかで、しっとりとした質感の、まるでジャノメチョウらしくない美しい姿で、かなりの驚きを覚えた。
 残雪残る、スギタニルリシジミがキブシの花の周りを飛び交う、スプリングエフェメラルのシーズンのできごとだった。

車内で昼寝のおじさんに…

 車内でお昼寝中のおじさんのシャツに吸汗


TOP高原のチョウタテハチョウ科(3)>ヤマキマダラヒカゲ

 

inserted by FC2 system